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「これこれここのものを買っていれば間違いない」ってことをブランドの証とするならば岸本佐知子も間違いなく日本翻訳業界の一流ブランドの一人でしょうね。
海外の現代小説を読む場合、作品を選ぶ基準としてその本を誰が訳しているのかが基準のひとつとなったのは柴田元幸からだと思う。村上春樹の「熊を放つ」の翻訳に協力したあたりから積極的に翻訳の仕事をはじめ、今や完全な一流ブランドである。ぶっちゃけ、「次に柴田元幸が何を訳すか?」はまっとうな本好きの主たる関心のひとつだろう。その影響は翻訳のジャンルをはるかに超えて、今や日本の現代文学のひとつの潮流とまではいかないけれど、隠然とした一派をなしつつあるのは残念ながら少し前に終わってしまった柴田元幸による文芸誌「モンキービジネス」の執筆人を見ていただければ明らかです。 まあ、「柴田元幸=村上春樹ライン」みたいなのがあって、そのフレームに入る人と入らない人っているんですよね。メジャーなところだと、川上弘美とか小川洋子とかね、書いてますね。あと、戌井昭人もいるな。このラインとは別に、保坂和志一派というか、磯崎健太郎とか、柴崎元香とかのラインがありますね。こっちはどっちかっていうとガチガチな理論派といった感じというか、反村上春樹派ですね。 あと反村上春樹といえば、蓮見重彦=阿部和重ラインがあります。ここには中原昌也や批評家の???みたいな文学というよりも映画系の人たちです。彼らも村上春樹を憎んでいますね。まあ、阿部和重あたりは本音では違うと思うんですけど、親分である蓮見が昔から村上春樹大嫌いですんで、手下としては従わざるを得ない。 高橋源一郎や島田雅彦、山田詠美あたりは没落の度合いが激しく、ほとんど問題にされていないようです。まあ、三人とも作家ってよりもタレントですよね。キャラに寄りかかったというか。 これらのラインに属さない作家では、吉田修一とか堀江敏幸らがいます。堀江敏幸なんかけっこう柴田=村上ラインに近いような気もするんですけど、なぜか「モンキービジネス」には書いてないですね。まあ、いろいろあるんでしょう。 しかしこうしてみるとあれですね、やっぱり中上健次の死って、大きかったですね。彼がもし生きていたら、このへんの勢力図というか人間関係図は大きく変わっていたように思えます。柄谷行人とか渡辺直己あたりの中上みこしを担いでいた人たちもすっかり消えてしまいました。純粋にね、もっと読みたかったんだけどなあ。 世間的には中上健次と村上春樹ってぜんぜん別というか、とくに中上健次とかが好きな人は村上春樹なんて読めないって言う人が多いですね。僕的には中上健次は世界文学的視点から村上春樹を高く評価していたと思っています。「世界の終わり」のころですけどね。 そうそう、あと、村上春樹って「はっぴいえんど」の影響受けてるよね。誰も言わないけど さて。 柴田元幸が日本に送り出した素晴らしいものって3つあります。ひとつはポール・オースターで、もうひとつは翻訳家村上春樹、で、最後は岸本佐知子。 僕が岸本佐知子をはじめて意識したのが「モンキービジネス」の日記です。日本SF大賞のなんとか賞も受賞したというこのシリーズを読むだけでも買う価値がありましたね。たぶん、本にならないだろうから、未読の方はぜひ、「モンキービジネス」のバックナンバーをそろえてください。今ならまだ、全巻そろうと思う(たぶん)。 誰だ誰だこの人はと調べてみると、「さくらんぼの性は」「オレンジだけが果物じゃない」「灯台守の話」(ジャネット・ウィンターソン)、「中二回」(ニコルソン・ベイカー)、「拳闘士の休息」(トム・ジョーンズ)あたりの翻訳本は僕もすでに読んでいた。いやいや実はご近所さんだったんですねえという方も多いと思う。 こういう女性の翻訳者って、なんていうかジェンダーバイアス系の作品を訳すってことになりがちですが、岸本佐知子は少なくとも最近はそういう感じがまったくないというか、むしろ「モンキービジネス」の日記みたいなミルハウザー系というか、奇想が充満した作品を翻訳しています。「変愛小説集」(Ⅰ・Ⅱ)と「居心地の悪い部屋」あたりをぜひ。 エッセイスト?としても、ものすごく上手で、日常生活のごく瑣末な出来事や幼少期の記憶から、異様な(異常な)世界を引っ張り出すというか、作り上げる妄想力は天下一品であります。小説書けばいいのに。 美人だし、もっともっと人気出ることを期待しています。岸本佐知子ブランド、買いですね。
by 42_195km
| 2012-12-05 22:52
| 本三昧
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