メモ帳
現在、カテゴリーを作成中です。
カテゴリ
全体 僕たちはこんな 音楽三昧 美術三昧 世の中のこと 相場 本三昧 絶滅する音楽 映画三昧 weather report 走ること 北海道 北海道へ脱出計画 音楽三昧 ピアノを弾こう Music and Art 記事ランキング
最新のトラックバック
以前の記事
2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 01月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 その他のジャンル
ファン
ブログジャンル
画像一覧
|
『見ること、在ること』(小栗康平)
先日の新日曜美術館以来、小栗康平監督のことがあらためて気になっている。『哀切と痛切』は読んだことがある。そのほかに2冊の本が出ていることを知って図書館で借りてきた。そのうちの1冊がこれ。1996年の発行だから、ちょうど『眠る男』が公開されている時期にあたる。 「自分が言葉を呑んだり折ったり、ためらったりしているのは、それが遅れているからといったことなのではなくて、本来、言葉というものは人それぞれでつまずいたものなのではないかという思い。整理されたものが言葉なのではなく、つまずきそれ自体がその人の言葉なのではないかといえばいいだろうか」(「つまずき」より) 「つまずきそれ自体がその人の言葉なのではないか」、この一言に、小栗康平の表現することへの佇まいが見事に現れているような気がする。この文章を読んだとき、僕は本を閉じて天を仰いだ。いや、まったくのところ。 すらすらと言葉が出てくること、素早く的確に表現できること、美麗な修辞を並べること。このようなフレームとはまったく違う観点から小栗康平は書くことを見ている。 「言葉というものは人それぞれでつまずいたものなのではないか」 どういうことなのだろう? つまずくとは、どういう状態なのか? この文章そのものが、僕の中でつまずく。ひっかかる。胸騒ぎをおこす。僕はまったく間違った見方で、書くことについて考えていのだろうか? 小栗監督とは一度だけお会いしたことがある。あったといっても、個人的にではなくて講演会でだ。とある高校で開催された市民講座に講師としてやってきて、上映中だった『埋もれ木』の話題を中心に語られた。映画と音との関係について質問した。コンビニエンスストアだったか、ガソリンスタンドだったかを遠景でとらえたシーン。カメラははるか遠くから撮影しているのに、音はその建物のすぐ前にいるような近さだった。非常に幻想的なシーンだった。映画における音の重要さについてお答えいただいた。音についてはこの本の中でもふれられている。 「私たちは音の選択で世界の印象をつくっているといってもいい。暮らしの中で考えると、遠い物音によってこころを確かめている気がする」(「音の手がかり」より) 『埋もれ木』のラストはアルヴォ・ペルトの曲をバックに、主人公の高校生の顔がアップになる。鳥肌がたつほどに美しい画面だったが、あのとき彼女は何を考えていたのかについても聞きたかったが、うまい言葉を考えているあいだに講演は終わってしまった。 講演後、『埋もれ木』のパンフレットにサインをしていただいた。やたらに恥ずかしそうに名前を書かれたことを覚えている。次作はいつなのだろう? 僕に資産があったら協力するのに(笑)。 この本は壮丁も素晴らしい・・・と思ったら司修だった。司修も僕が敬愛する美術作家だ。つながっているなあ。
by 42_195km
| 2008-11-25 23:33
| 本三昧
|
ファン申請 |
||