「星新一 一〇〇一話をつくった人」(最相葉月)を読んであきれる。
どうして臨終について書かれていないのか? 失礼ではないか? 読者に対しても、星新一に対しても。
あー、この人は酔ってますね。酔って書いてますね。ところどころに、「それって誰が言ったの? 誰が思ったの? 取材に基づいているの?」と激しく首を傾げたくなるような文章がばしばしと出てくる。
最相がどういう立場、どういう視点で星新一に相対しているかはまったく書かれていない。作者は報告者に徹しているつもり…なんだろうが、それは見せかけにすぎない。黒子のふりをしているから逆に作者自身の思い入れの臭さが鼻につく。
星新一の死を描かないことによって、あたかも星がまだ生きているかのように錯覚をさせようとでもいうのか、そのあざとさというか人を馬鹿にした書き方に心底腹が立った。
だいたい、この人ってSF好きじゃないよね。っていうか、文学好きじゃないですよね。そもそもさ。
星新一ファンとしては怒りパンチの一冊であった。残念。