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十年ほど前に岐阜のどっかの美術館で上村松園をまとめて見たことがある。まとめてといっても、十点かそこらだったが、美しさと圧倒的な情報量に腰を抜かした。あれは人間が描いたもんじゃない。
日本画のマイヒーローはなんといっても安田靫彦であるが、松園の絵の前に立つとその心も揺らぐ。でもって「これは別世界の人が描いただから」と自分を納得させるのである。なのためかよくわからんけど。 で、その美術館を再訪しようといろいろと調べてみたのだが、どうにも見当たらない。得意のインターネットとやらで検索するのだが出てこない。 たしかどっかの企業だったかが建てた私設美術館だったはず。もしかして母体の企業がつぶれて美術館も廃館となり、松園コレクションも散逸してしまったのだ、ああ、と嘆いてたらなんということはない、うちのすぐ近くの美術館であったのだ。岐阜じゃなかったんだ! ぎゃふんである。 どっかに遊びに行きたいのだが雨が降っているってときには「館」が一番である。美術館とか博物館とか水族館とか科学館ね。昔からこういう場所が大好きでなんとか「館」に潜り込もうと学芸員の身分で某組織に潜り込んで安穏な人生を送っていたはずなのにいつの間にか政策を作ったりしてるんだから困ったものである。脱出するためにユーロを売ったり買ったりしているのだがいまひとつまだ、仕事辞めるとこまではいかない。ともすれば…というのは余計な話だった。 とにかく「館」である。 マンションから車で20分のところにあるその美術館、前から存在は知っていたのになかなか行く機会がなかった。よしよし、情操教育もかねていっちゃろうと駐車場に車を止めてみるとざわざわざわと脳みその裏あたりがうごめく。 「俺、ここに来たことがある!」 なんと、前世の記憶があふれだしてきたのか? エンゼル・ハート(つまらん映画だった)はたまたディックか?などという大げさなものではなくて、ただ単に、その美術館が岐阜にあるものだと思いこんでいただけなのであった。たぶん仕事でマイクロバスで行ったからからだと思う。ほら、自分で運転しないと道ってなかなか覚えられないじゃないですか。えへ。 さて、名都美術館であります。今や愛知県で抱かれたい町ナンバー1じゃなかった、家を建てたい町ナンバー1である長久手町にある。いかにも田舎な感じの趣味の悪い国道から一本入った住宅街に忽然とある。建物は2階建て、和風でなんの変哲もない。誰が設計したのか問いたくもならない地味な感じですが、覚王山にある古川美術館なんかよりもよほど趣味がよい。なんですか、あの金色の階段やらピンクの絨毯は! 企画展のテーマは「名都美術館コレクションⅠ 爽秋」です。爽秋? なんて読むんだ? そうしゅう? そんな言葉あるのか? 自らの教養のなさにおののきつつ館内に入ると、いきなり安田先生(安田靫彦のこと)にお迎えされて気分がよいのである。伊東深水がしばらく続き、これはこれでよいのだが肝心の松園が見当たらずあれあれもしやもしややっぱりおれの偽記憶だったのかと焦り焦り進むとありましたよ、上村松園。 ![]() いやさおまいさん、これがすごいんですよ。まず驚くのは右の女性の着物。絣の下から地の着物が見ているんですけど、美しいのなんのって。どうやって描いたんだ? いや、どうやって描いたのだ?っていう驚愕の段階は、0.1ミリのくるいなくまっすぐに筆で引かれた縁台の輪郭線や、0.01ミリではないかと思われる髪の毛のいっぽんいっぽんの描写などにうっとりとし、じっくり見ると着物の文様が絵具で浮かび上がっているぞ、これは絵画ではなく彫刻なのか、いやいや左に立つ2人の女性のかんざしの緻密さといったらミクロコスモスではないか!と見れば見るほどに高まり、次第に恍惚とした別の段階、別の世界へと見る者をいざなうのであります。 おそるべし、上村松園。はっきりいって、幻想絵画です。 このほかにもいくつかの松園があり、東山魁夷あり(「爽秋」とはこの人の作品名)あり、平山郁夫あり(いつもながらに可愛い)とまさに眼福眼福。来てよかった。 大収穫は安田育代の「天与」。赤ん坊を抱いた半裸の女性が真ん中に。同じく半裸の女性が左右に一人ずつ立ち、目を閉じ、やや空を仰ぎながら天与を待っている。2人の背後には樹木が光背のように伸びる。足元には柘榴が落ちている。よい絵でした。また見たい。 というわけで、名都美術館、かなりよかったです。見かけは地味ですが、コレクションは華やか。素晴らしい。
by 42_195km
| 2011-10-15 15:45
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