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名都美術館に平山郁夫の作品があった。
青い地に、金で描かれていた。真ん中辺にウサギやらなにやらの動物がいて、奥のあずまやに人のような影がぼんやりと立っている。タイトルは「楽土」だから、たぶん、影は仏陀だろう。 しみじみとして、可愛いのである。仏陀も動物も可愛いのである。たぶん仏陀の教えを動物たちが聴きにきたのだろう。そういうエピソードが仏典にあるのかな。 平山郁夫といえば日本画の大家、芸大の学長もやったし、日本美術院の理事長もやった。文化勲章ももらっている。もうなんつうか、権化な感じである。ガチガチのヒエラルキーで固められた日本画壇の頂点に君臨するダース・ヴェイダーみたいな存在だと思っていた。 絵も退屈である。えんえんと仏像とか砂漠の絵を描いている。線香臭いったらありはしないのである。いかにもNHKな感じである。権威である。 たぶん、平山郁夫が中国に行くってなったら総勢100人くらいのおつきのもの(っていうか)みたいなのがぞろぞろぞろーってひっつっていって、普通の旅行者なら入れないような場所にも専用ヘリコプターみたいなので入り込み、札びらをびしばし切りながら、「よきにはからえー」みたいな感じでクーラーの聞いたベンツの窓越しかなんかに砂漠を見ながらさらさらさらーっとスケッチして、「はい、一枚描いた、百万円」みたいな感じでいやな臭いを撒き散らしていたのではないか? とかって思いながら、数年前に琵琶湖畔にある佐川美術館で平山郁夫を見た。有元利夫の展覧会があって、奥さんの講演会が開かれた。そっちが本当の目的だった。展覧会を見てから、講演までちょっと間があった。美術館には平山郁夫館なるスペースがあった。線香臭い(毒にも薬にもならない)平山郁夫の絵なんてまるで興味なかったが、暇なんで入ってみた。 ずらずらと平山である。 寺である。 砂漠である。 シルクロードである。 退屈である。 なんせ、遺跡ばかりなのである。石です。 たまに人物が出てくるかと思えば、ラクダの隊商だったりする。ただの影になっている。 よくもまあこんなつまらん絵ばかり描いて大家でございっていうか、いい商売だよなあ、日本画って、それに比べて今見てきたばかりの有元利夫の素晴らしかったことよ! さっさと出ましょう煙草吸いたいしと速足で会場をめぐり、出口にさしかったあたりにあった一枚がこれである。 タイトルは「平和の祈り-サラエボ戦跡」。思わず足が止まりましたよ。卑怯だよ、平山郁夫! これまでえんえんと線香臭い絵を並べやがって、最後にこれかよ! 見ているうちに涙が出てきた。今、こうして書いているあいだもぐっときている。 いろんな絵を見てきた。古いのから現代美術まで、できる限り見るようにしてきた。つまらんのもあるし、面白いのもあった。それなりに感動というか、美術にしかできないことだよなあ、これはってうなることもあった。 しかし、「絵画の力」みたいなものに直撃されたのがこの絵がはじめてである。青木繁の「海の幸」の実物を見たときも、マックス・エルンストの「百頭女」のオリジナル版を見たときも、こんなに痺れなかった。僕の足は僕が支配していましたよ。 この絵を見たときは完全に乗っ取られましたね。心、もってかれました。 そうか、平山郁夫って、「廃墟」を描いていたんじゃないんだなって、はじめてわかった。 たぶん、これは彼にとっても快心の作品だったんじゃないかな。「そうだよね、これだよね」っていうなんか、稲妻みたいなのがあったと思う。絵に、そういうビリビリ感が満ち溢れているもの。 それ以来、日本画があらためて好きになりましたね。美術ってすごい。人間の表現ってすごいよねって。 ぜひ、実物を見てください。泣けるから。
by 42_195km
| 2011-10-15 22:01
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